“リードアーティストによるキャラクターデザイン編「ジョニーウォーカー」と「世界を修正する者 アキラ」の場合”
おひさしぶりです。
Wright Flyer Studiosにて、マネージャー / リードアーティストを担当している濱坂です。
現在は消滅都市のアートディレクションを弊社シニアアーティストの櫻井に任せ、私はマネジ
メントの方に専念しつつ、並行してキャラクターデザイナーとして、新キャラやタマシイのデ
ザインを行っております。
さて、今回は前回に引き続き、「キャラクターデザイン」というテーマで、グリーが提供して
いるゲーム「消滅都市」のキャラクター「ジョニーウォーカー」と「世界を修正する者 アキ
ラ」を例に、以下の6つに分けてお話できればと考えております。
- キャラクターデザインをはじめる前に
- ラフの作成
- 「ジョニーウォーカー」の作成
- 「世界を修正する者 アキラ」の作成
- キャラクターメイキングについて
- 最後に
1. キャラクターデザインをはじめる前に
「ジョニーウォーカー」「世界を修正する者 アキラ」をデザインするにあたって、企画スタッ
フから以下のオーダーを初期に貰いました。
- 本編とは異なる世界に存在する闇属性のアキラをデザインすること
- そのアキラは過去にユキを何らかの形で失っていること
- 上記をきっかけとしてアキラは所謂「闇堕ち」状態にあること
「闇堕ち」という言葉は聞きなれない方もいらっしゃると思いますが、善人がある切っ掛けで
悪人となってしまう状況を指しています。
スターウォーズEp1~Ep3で、アナキン・スカイウォーカーがダースベイダーになっていく
様。を例に挙げるとわかりやすいかもしれません。
まず、前回の★6アキラと同様に、マトリックス上に配置して進めていきたいと考え。まず私
の方からラフを起こしつつ提案し、「lawful evil」か「chaotic evil」なのか?は企画スタッ
フと綿密な打ち合わせの元、決めていくことにしました。
【ユキを目の前で失ってしまったショックでSPを退職し、バウンティー・ハンター(賞金稼
ぎ)を生業にしているアキラ】
自身の中でこの様な設定を作り、一旦「chaotic evil」としてデザインを提案してみます。
(※日本では馴染みはありませんが、アメリカでは現在でもバウンティーハンターという職業
は存在し、決してevilな職業ではないことをお断りしておきます)
2. ラフの作成
進化前、進化後の初期ラフとなります。
映画「ミッドナイト・ラン」は、私の好きな映画の一つなのですが、作中でジョン・アシュト
ン演ずる賞金稼ぎ役が強く印象に残っており。ショットガンを装備させることは初期から決め
ていました。
また、この時は【実世界(プレイヤーから見て)のユキを守ることを決意し、闇堕ちから立ち
直った様】を表現する事で★5→★6の差異を付けようとも考えていました。
3. 「ジョニーウォーカー」の作成
この段階では実装されたジョニーウォーカーのデザインと異なり、普通のトレンチコートを着
せています。
また、ユキのチョーカーは無く、代わりにドラム缶を配置しています。
これは進化後に破壊されたドラム缶を描写し、進化前との差を強調する。という目論見による
ものです。
話し合いの中で、企画スタッフからも闇属性アキラの精緻な設定が提案され、黒コート一味の
仲間という設定を得て、闇属性アキラのアライメントを「lawful evil」と確定することができました。
コートのデザインを既存の黒コート一味のそれに変更しつつ、頭に装着されたインカムに関し
てはそのままでデザインを進めます。これは闇アキラが秩序だった組織でチームの一員として
機能している記号ともなり得ます。
また、ユキとの過去に関しても強く印象付ける必要があるとの事でしたので、ドラム缶を取り
除き、ユキのチョーカーを配置しました。
4. 「世界を修正する者 アキラ」の作成
★5との差別化の為、装備されたショットガンの変更を図ります。
比較的最近の銃であること。ブルパップ方式で矩形の画面内にレイアウトしやすい点からケル
テック社のKSGを選択しました。
左右を反転しても大きな違和を感じない点も採用理由の一つです。
純粋にデザイン的な面では、多くのモチーフを配置することによって視線を散らすことの無い
様に、エフェクトやモチーフの方向を一致させアキラを見た方の視線を顔に集中出来る様にレ
イアウト上の工夫も行っています。
5. キャラクターメイキングについて
有名な群像劇(幕末の歴史や三国志)を改めて振り返ると、上記のマトリックス上に、バラン
スよくキャラクターが配置されていることに気付かれる方も多いと思います。
キャラクターデザインだけでなく、群像劇を創作されるライター志望の方もキャラクターの造
形をされる際に参考にされてみては如何でしょう?
6. 最後に
前回からあまり日を置かず投稿させていただきましたが、如何だったでしょうか?
グリー株式会社では、日々新しい体験を創造する為、様々なデザイナーが集まり切磋を続けて
います。
これからも当ブログでのグリーのアーティストの発信にご期待ください。